ノンダの飲み歩き「女将酒場その壱」の巻

大衆酒場が好きだ。レモンサワーに工夫を凝らした今風の酒場も好きだが、個人的には、店の親父や女将が細々とやっている、こじんまりとした店が好きだ。客が賑わう時間を避けて、開店早々、閉店間際を狙って親父、女将を独り占めするという作戦だ。カウンター越しに、他愛のない話から、人生相談まで。大衆酒場の魅力の一つだと思うんですよ。

 

かわいい笑顔の女将さん

取材の帰り、日も暮れたものでして池袋でぶらりひとり酒。とある大衆酒場で飲んでいたものの、なんとなくしっくりこない。ブクロに住む知人を誘って、飲み直し。「地元ならではって感じで、俺の好きそうな店どこかない?」というあまり具体的ではないリクエストに、最近行きつけの焼き鳥屋が多分好きそう、ということでこちらのお店に初来店。なんともキュートな女将さんがお出迎え、小さい店だし気取ってなくて期待大だ。
まだ早い時間だったので、狙い通り客はおらずのんびり飲み直しスタート。知人は常連だけあって、もちろん女将さんとは顔見知り、この店のノウハウも知り尽くしてるから話が早い、ちょっと熱めの焼酎お湯わりからはじめることに。なんでもここの焼き鳥は、大山どりを使って女将さんが毎日串打ち、しかもきちんと炭火で焼いてくれるとのことで、レバー、砂肝、ハツと好きなものだけまずは注文。ちょっと時間はかかるものの、お通しのポテサラをアテにちびりちびり。

ちょっと熱すぎるお湯わりもこの時期はありがたいもの

焼き鳥が焼き上がり食べてみるといい焼き加減と塩加減。レバも丸々していてホックホク。いい仕事するなぁと感心しながら、女将さんにあれやこれやと話かけてみた。年の頃はウチのお袋と同じくらいで、息子夫婦には3人の子供、つまりは女将さんの孫がおり、息子さんは会社勤めでしかも転勤続きらしい。3人の子供を育てるってのはもちろんこの都会で大変なのは誰もが承知。そこで、息子さんはサラリーマンである傍、自己資金を準備して、自ら店を探してプロデュースをし、一番信頼できる自分の母親を店主にしたというわけだ。

親子とはいえそこはきちんとした雇用関係を築いているようで、女将さん(お母さん)も、のびのびと楽しそうに仕事をされている。そんな話を酔っ払い客が聞いた時、「親働かせて自分は金儲けてるんだろ?バカ息子だな」と、言われた時はさすがに穏やかそうな女将さんも激怒したそう。「そりゃ、自分のかわいい息子をバカ息子呼ばわりされて、怒らない親はいないでしょ?」と、そりゃそうだ。自分なんてバカ息子の典型だから人前でバカ呼ばわりされてもなんてことはないけれど、客とはいえ、他人からよくも知らずにバカ呼ばわりされた親はそりゃ頭にくるに決まってる。

なんて話をしながら、お湯わりのお代わり。「熱めでいいの?」と、そうか外が寒いから最初は熱めにしてくれてたんだな。どうやら飲食店経験は長くはなく、おそらく商売として店に立つのは息子さんのこのお店が初めてのようだ。でも、焼き鳥はうまいし、何しろ店としての居心地がいい。そうこうしているうちに、あれよあれよと店内は満席。女将さん一人で切り盛りしてい流のを常連客はよく知っていて、冷蔵庫から日本酒を出して自己申告、自分で酒を作ったり、出来上がった料理を客同士で運び合う。かと行って、一限が入りにくい雰囲気を作っていない、実にいい店だ。

もう少し飲んでいたいけれど、次から次へと来店する常連さんに席を空けるのが、こういう店のルールだろう。ということでまた来たい店が池袋にも1軒増えた夜とあいなりました。

池袋西口「焼きとり ミツル」
行ってみたい人は検索してみてくださいね