インタビュー「蒲田 二代目 叶え家」大塚社長

今宵は上野の「ビアガーデンテラス 肉バル 上野店」で恒例の飲み取材。同店を運営する「リテンションマテリアル合同会社」の代表である大塚氏に、「テンポス情報館」田畑社長と共に同社の経緯、経営方針などを伺った。

現在、8店舗を運営する同社代表である大塚氏と田畑社長は、大塚氏が独立、創業間近な頃からの顔見知り。現在、順風満帆の大塚氏にも、借金を背負っての独立など、顔見知りとはいえ、知られざる一面も今回の取材で改めて知ることになった。人に歴史ありとはいうが、店、会社にも、もちろん歴史があるものなのだ。

乾杯ビールでインタビュースタート!

大塚氏は大学を卒業後、飲食業界とは無縁の不動産会社の営業職に就いた。世間を騒がしたあのリーマンショックの波をモロに受けた不動産会社を退職、転職の道を選んだ。ハローワークに足を運びながらの職探しの日々、中学時代の友人の紹介で、某焼肉店のアルバイトを始めることになった。その働きぶりから、入店たった2ヶ月で店長職を任され、3約年弱、社員として働いた。その時期に現場で学んだことの一つは、「利益よりも店の雰囲気の良さで評価されるもの」ということ。雰囲気とはつまり、内装やディスプレイによる雰囲気ではなく、スタッフが創り出す、店全体の良い雰囲気のことだ語る。その雰囲気を大切にしスタッフと共に店を盛り上げ、売上はどんどんアップしていった。しかし、「ブラック企業」とまではいかないが、働きづくめで結果を出しても、低給料で支給されたボーナスはたった4万円、ここにいては夢が持てないと痛感した大塚氏は、次なるステージを求めて再度、転職を決意した。

穏やかな笑顔の大塚氏

転職したのは社員3人の小さなコンサル会社。そこで担当したのが、不動産会社と飲食店での現場経験を活かせる、お弁当屋のコンサルティングだった。そのコンサル先のお弁当屋が直営店として立ち上げたのが「叶え家」で、後に大塚氏の創業店舗になることになった。というのも、この蒲田で居酒屋としてはやや大箱の「叶え家」は、繁盛してはいたものの、経営面では数千万の負債を抱える会社だった。そこで、飲食店の経験を活かしながら、独立して起業するという大塚氏の当時の目的から、コンサル会社を辞め、「叶え家」で、まさに夢を叶えようと決意する。そして3年目に同店を譲り受け、ゼロからではなく、負債額およそ3000万からの独立、再スタートを切った。それが創業店舗となる「蒲田 二代目 叶え家」の誕生だ。
それから6年の歳月が経ち、今では居酒屋業態、肉バル業態、立飲み業態など8店舗を運営するまでに会社は成長した。その成功の裏側には、大塚氏独自のユニークな経営方針がある。それは「無い経営」という方針だ。例えば、同社には、「達成したいことはあるが、ビジョンはない」やりたいことはあるが告知はしない」など、夢や希望を語る前に今目の前にある店を盛り上げることしか考えないということ。

社員、アルバイトが一丸となって活気ある店づくりを!

現場においても、無いものづくしだ。例えば、「各店に店長はいない」、「売上目標もない」、社員12名と70人のアルバイトを抱えながらも「会議がない」。それで経営は成り立つのか、との問いに、「飲食店は、やらなければいけないことがたくさんありすぎるので、ウチ(弊社)は、やらないことを決めただけなんです。アルバイトさんが閉店後に皿洗うの嫌ですよね? 店長が閉店後に売上集計するのって面倒ですよね、疲れてるし、眠いし」と苦笑いを浮かべ、ビールを飲み干す。そしてさらにこう語る「ウチはフツーにやればいいんです、昨対アップは理想ですよ、でも数字だけ目標にしたってダメなんです。売上アップするには、人がやらなければならないことで、店の良い雰囲気を創りあげることに専念してくれればいいと思うんです。売上が良くも悪くも店長のせいになりますよね? 違うんです、その日にいるスタッフ全員のせいなんです。だから各店に店長を置かずに、ローテーションでその日にその店にいる社員が、いわば1日店長みたいなものなんです、そしてその日1日、お客様に満足して頂ける雰囲気を大切にして欲しいんです」。

会議はなくともその場その場で、問題点はそこにいるスタッフで解決する。売上やFLコストを気にしなくても、経営者がそこはきちんとマネージメント管理すればいい、数字の目標をを立てなくても、日々スタッフが気持ちよく働いてくれれば結果は出る。「ナイナイ経営」、それを実践し、結果が伴っているのが見て取れる。なぜなら、取材を終えて、飲みながら店内を見渡せば、平日にもかかわらず賑わう店内、楽しそうなスタッフの笑顔が溢れてるのですから。

取材協力
リテンションマテリアル合同会社
ビアガーデンテラス 肉バル 上野店
東京都台東区上野6-7-2 栄ビル
03-6854-0880